驚いた。
雪が降っているというのに、剣心が縁側ですやすやと気持ち良さそうに寝ている。
もぅ…。急に居なくなったと思ったら。
こんな所で寝ていたら、風邪をひくどころか凍え死んじゃうわよ。
取り敢えず、側に置いてあった薄い掛け布団を剣心の肩に掛けてやると、くすぐったそうに剣心がその身を捩った。
「ん・・・かおる・・・どの・・・?」
「あれ?起きちゃった?」
「薫殿の・・・匂いがした。」
「そう。」
まだ寝呆けているのかしら?
薫がふわりと微笑んで剣心の前髪をそっと撫でると、剣心は正座をしていた薫の膝の上に顔を摺り寄せてくる。
「け…剣心っ///こんな所で寝てたら、風邪ひいちゃうわよ?」
「も・・・少し・・・」
「剣心っ!剣・・・・・・・・・・・寝ちゃった。」
自分の膝の上ですやすやと寝息を立てている剣心を見て、薫は仕方ないと言った様に一つ大きなため息をつく。
雪を・・・見ていたのかしら?
降り出す前からずっと空を見つめていたものね。
掛け布団をもう一度掛けなおして、柔らかな髪にそっと口付けを落とした。
貴方が私を選んでくれた事、とてもとても感謝してる。
貴方の過去、貴方の未来、貴方が打ち明けてくれた分だけ私は受け入れるから
だから、そんなに悲しそうな顔をしないで
貴方が傷ついたら、私が癒してあげるから
すっかり冷えてしまった手をきゅっと握り締める。
明日には、もっともっと幸せになれますように
そう、願いを込めて
>>終
2005.1.9